平凡な訳

「死」は時間が止まる事。

もうそこからは、自分自身を認識できなくなって、
誰にも何も伝えられなくなる。
そして別人が生まれる。

「彼」はもう一人の、他人の中で勝手に歩き出した自分だ。
自分が生きている時に敷いた、レールの上を「彼」は走る。
そう、自分ではどうする事も出来ない「彼」が暴走するのだ。

思わぬ汚名を着せられても、それはもう拭えない。

だから?

人は平凡に生きる事を知らずに望むのかもしれない。

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