水は喉の乾きを潤して 風は肌の火照りを取り去る 花は芳しく 月はさめざめと 日は温もりを与え続けて 横たわる私に生を思い出させる
見よ 飛び交う羽虫の群れを 其は役目を果たさんが為 伏した甲虫の肉を咥え込む 限りなく続かんとする命の輪を 思いて 思わず 繕わんと欲す
真白き雲の下で 力尽きた我を啄ばむ者よ 愛しき者との別れを惜しむ 私の心も知らずにお前は 私の光を奪ってしまった
見えずとも感じる 温もりに包まれて 私は骸となり 新たな命を紡ごう
(目次へ)