空を見上げると

ふと空を見上げると星が見えた。それをそっと手ですくうと、わずかに冷たく、すっと消えてしまった。星は白い輝きを放ち、空から一つずつ、やがて大勢になって降ってきた。

それは「雪」と呼ばれていた。

家から半日かけてようやくたどり着いた山の頂上から、眼下に広がる小さな集落を見下ろすと、薄く積もった「雪」のおかげで、村はすこし活気を取り戻していて、その様子は小高い山の頂上からでもよく見える。皆、それぞれに小袋を片手に持ち、もう片方の手には白い手袋をして、とりあえず自分の家の周りから「雪」を掻き回しているのだろう。

そっと屈んで、手袋をした方の手で雪の層を探ってみる。なかなか見つからず、今年もだめかと諦めかけていると、どうにかささやかな青い結晶を探り当てた。

数個の収穫を得て下山したときには日が暮れていて、村は落ち着きを取り戻し、商人達も引き払っていた。

夜空は暗く、星ひとつ見えなかった。